リハビリテーション科
- リハビリテーション科の理念
退院後の生活を踏まえた目標設定を行い、チーム一丸となって取り組みます。
在院日数の短縮・早期退院を目指し、早期に十分なリハビリテーションが行えるよう体制を作ります。 - リハビリテーション科の基本方針
患者様の意思及び人格を尊重し、信頼される安全で良質なリハビリテーション医療を提供いたします。
理学療法
当院では理学療法士26名で日々の業務に取り組んでいます。入院・外来ともに高齢者の方が多く、地域に根付いた医療を目標にしています。入院では大腿骨頚部骨折や腰椎圧迫骨折などの整形疾患が多く、脳神経外科では脳梗塞・脳出血が多くみられます。超高齢化社会に向けて多くのセラピストを有ることで、一人の患者さまに対して充実した内容の理学療法を提供することが利点であります。
早期からベッドサイドで理学療法を実施し、寝返りや起き上がり、立ち上がり、歩行などの基本的な動作の獲得と日常生活動作の獲得を図り、在宅復帰を目標に患者さま一人一人にあわせたリハビリテーションを提供しています。
さらに他職種によるチームカンファレンスを定期的に開催しており、病棟スタッフと意思統一して在宅復帰・早期退院に向けて尽力しています。
また、物理療法として温熱療法や介達牽引、低周波療法なども実施しています。
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作業療法
現在6名で運営しています。入院での各科からの依頼は脳神経外科から脳血管疾患・脊髄疾患、また上肢骨折等の外傷における整形外科疾患が過半数を占めています。外来では主に上肢骨折の患者さまを対象に実施しています。
作業療法では日常生活活動、応用的日常生活活動の獲得を目的とした動作練習や認知機能、高次脳機能の維持・改善に向け作業媒体を用いて練習を実施しています。
また、入院生活において残存機能の活用や患者さまの状態にあった生活を過ごしていただくために、病棟内の生活活動に対する更衣評価表と入浴評価表を考案し、病棟との連携を図っています。
さらに入院生活においてQOLの充足、安静臥床に伴う二次的障害の予防のため、23年度から病棟内でレクリエーションを取り入れて実施しています。
住み慣れた地域社会での生活を継続して過ごして頂くために動作練習や作業活動をはじめ、環境調整に対してアドバイスを行い、更なる病棟との連携、レクリエーション内容の充実に努めて取り組んでいます。
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言語聴覚療法
現在は3名で運営しています。入院では構音障害・嚥下障害・失語症・高次脳機能障害の方が、外来では構音障害・失語症の方が多くなっています。
言語療法ではコミュニケーション障害のある方を対象に評価、各々に合った訓練内容を行い、少しでも患者さまが快適に日常生活を送れるように日々努めています。
また、近年認知症や高齢で嚥下障害を患い入院されている方も多く、病棟スタッフとの連携を図りながら経口摂取への移行に取り組んでいます。平成23年7月からNST指導医として、神戸常盤大学保健科学部医療検査学科より野村秀明先生を迎え、より一層NSTの活動に力を入れて患者さまの栄養改善を図るべく取り組んでいます。
また併設の老人保健施設や訪問リハとの連携を図りつつ、退院後の生活が少しでも患者さまやご家族にとって充足したものになるようにスタッフ一同協力していきたいと思います。
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音楽療法
音楽療法士1名による小集団音楽療法を月2回実施しています。
対象となる患者様は担当スタッフの意見を参考にして選択しています。
音楽活動の中では、馴染みの曲を歌い、また歌唱に合わせて手指や上肢運動、楽器活動など取り入れています。
音楽を使ってコミュニケーションをとり、入院生活の中で楽しい時間を過ごして頂きながら、意欲の向上や、残存機能の維持、心身の発散、不安の軽減などを目的として行っています。
回復期リハビリテーション病棟
52床
回復期リハビリテーション病棟とは
回復期リハビリテーション病棟とは、厚生労働大臣が定める脳血管疾患または大腿骨頚部骨折等の整形外科疾患によるリハビリテーションが必要な方を専門に受け入れる病棟です。日常生活動作(ADL)の向上による寝たきり防止は基より、在宅復帰や社会復帰をめざし、個々の住宅環境と家庭環境に合わせたリハビリテーションプログラムを作成します。
そのリハビリテーションプログラムをチームアプローチとして医師、看護師、ケアワーカー、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が共有し、集中的にリハビリテーションを実施する専門病棟です。
入院対象となる方
2008年4月1日現在
疾患 | 入院可能な状態 | 入院限度日数 |
---|---|---|
(1)脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント術後、脳腫瘍 急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症など |
発症または 手術後2ケ月以内 |
150日以内 |
(2)高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷、頭部外傷を含む多発外傷 | 180日以内 | |
(3)大腿骨、骨盤、脊椎、股関節、膝関節の骨折 | 90日以内 | |
(4)外科手術または肺炎等の治療時の安静による廃用症候群 | ||
(5)大腿骨、骨盤、脊椎、股関節、膝関節の神経・筋または靭帯損傷後 | 発症または 手術後1ケ月以内 |
60日以内 |
※上記の表参照
- 脳血管疾患、脊髄損傷の発症または手術後2ヶ月以内の方 (脳出血・脳梗塞・くも膜下出血、脳挫傷、脊髄損傷)
- 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の骨折または手術後2ヶ月以内の方
- 外科手術、肺炎等の治療時の安静により生じた廃用症候群を有しており、手術後または発症後2ヶ月以内の方(筋力低下・関節拘縮など)
- 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の神経・靭帯損傷後1ヶ月以内の方
- その他、1~4に準ずる状態の方
リハビリテーション科スタッフ
- 理学療法士:26名(専従:3名を含む)
- 作業療法士:6名(専従:2名を含む)
- 言語聴覚士:3名(専従:1名を含む)
疾患別リハビリテーション施設基準
- 脳血管疾患等リハビリテーション(Ⅰ)
- 運動器疾患リハビリテーション(Ⅰ)
- 呼吸器疾患リハビリテーション(Ⅰ)
基本診療基準
- 回復期リハビリテーション病棟入院料(Ⅰ)
- 休日リハビリテーション提供加算
回復期リハビリテーション病棟入院料Ⅰとは?
[施設基準]
- 常時13対1以上の看護配置があること。(看護師7割以上、夜勤看護職員2名以上)
- 常時30対1以上の看護補助者の配置があること。
- 専任のリハビリテーション科の医師1名以上、専従の理学療法士3名以上、作業療法士2名以上、言語聴覚士1名以上、専任の在宅復帰支援を担当する社会福祉士等1名以上の配置があること。
- 在宅復帰率が7割以上であること。
- 新規入院患者のうち3割以上が重症の患者(日常生活機能評価で10点以上の患者)であること。
- 新規入院患者のうち1割5分以上が「一般病棟用の重症度・看護必要度に係る評価表」のA項目が1点以上の患者であること。
- 重症の患者の3割以上が退院時に日常生活機能が改善していること。
休日リハビリテーション提供加算とは?
[施設基準]
- 当該保険医療機関において、休日を含め全ての日において、リハビリテーションを提供できる体制を備えていること。なお、リハビリテーションの提供体制については、当該保険医療機関のその他の病床におけるリハビリテーションの実施状況を踏まえ、適切な体制をとることとするが、回復期リハビリテーションが提供される患者に対し、休日の1日当たりリハビリテーション提供単位数も平均2単位以上であるなど、曜日により著しい提供単位数の差がないような体制とすること。
- 当該病棟に配置されている専従の常勤理学療法士又は専従の常勤作業療法士のうち1名以上がいずれの日においても配置されていること。
- 当該病棟において看護又は看護補助を行う看護要員の配置が当該保険医療機関の休日においてもリハビリテーションを提供する支障とならないようにすること。
当院の回復期リハビリテーション病棟の特徴
365日リハビリテーションの提供
当院では土日、祝日はもとより連休や年末年始を含めた365日リハビリテーションを実施しております。これにより連続した集中的なリハビリテーションを提供することで、チーム一丸となって患者さまの早期回復・早期退院を目指しています。また、在院日数の短縮と在宅復帰率の向上を図り、地域における回復期リハビリテーション病棟としての役割を担っていければと考えています。
モーニングケアの充実
朝起きて朝食を終えるまでのモーニングケアにおいて、これらの時間帯に食事・排泄・更衣・整容といった日常生活動作(以下、ADL)が集中して展開されます。この時間帯に理学療法士・作業療法士がADL練習を兼ねてケアに介入することで、セラピスト目線からの評価を踏まえたケアの充実を図り、在宅復帰に向けて取り組んでいます。
また、看護師やケアワーカーの早出により起床時からできるだけ格差のないケアスタッフを配置しています。
家庭訪問(初回・退院前)
当院では在宅復帰を予定されている9割以上の患者さまに対して、家庭訪問をさせていただいております。初回の家庭訪問は、患者さまの状態にもよりますが入院されてから約1ヶ月ごろ、住宅環境の把握と家庭環境に合わせたプログラム立案に役立てています。退院前家庭訪問は住宅環境の設定を目的として、家庭内の動作指導や住宅改修、退院後のサービス等の利用を決定します。家庭訪問には患者さまとともに看護師、理学療法士、作業療法士、ソーシャルワーカーが同行し、ケアマネージャーや建築士も同席することがあります。
また家屋構造などを写真撮影し、リハビリテーション科内で家庭訪問後にミーティングを実施しています。さらに福祉用具使用の御提案等もさせていただいております。
※初回家庭訪問に関して、患者さまが同行しない場合もあり
個々のバックグラウンドに視点を置いたリハビリテーション
在宅復帰されたときの生活をイメージした病棟生活におけるリハビリテーションが効果的であり、患者さま個々に求められるADLは住宅環境や家庭環境によって多岐にわたります。当院では前述したように初回家庭訪問を実施しており、早期から住宅環境と家庭環境に合わせたリハビリテーションを提供しています。これによって患者さまが退院されてからも安心して生活していただけるように取り組んでいます。
レクリエーション
高齢者において、入院生活では臥床しがちとなり社会的交流が図れず、また意欲の減退などにより心身機能向上への賦活が阻害される場合が多くあります。当院の回復期リハビリテーション病棟では高齢者の入院患者が多いため臥床しがちとなりやすい状況が考えられます。
そこで当院ではレクリエーションを通じて他患やスタッフとのふれあいによる気分転換や「楽しみ」の提供することでQOLの充足や認知、身体機能の賦活に努めています。少しでも活動性を高め、充実した入院生活を送っていただくことで早期退院へ向けた支援を心掛けています。
退院後も途切れない継続したリハビリテーションを提供
我々、回復期リハビリテーション病棟のスタッフは退院後に患者さまが安全に不自由なく生活されているか気がかりでなりません。
すみれ訪問看護ステーションによる訪問リハビリテーションや名谷すみれ苑、垂水すみれ苑などの通所リハビリテーションにより、同法人内で情報共有が円滑に行え、途切れない継続したリハビリテーションの提供が可能です。さらに訪問スタッフから退院後の生活の情報交換が可能であり、末永く関わり合いを得ることができ、退院後も責任を持ってフォローできる環境が整っています。
実績
脳血管疾患 | 運動器疾患2 | |
---|---|---|
4月 | 87 | 997 |
5月 | 52 | 884 |
6月 | 57 | 955 |
7月 | 51 | 980 |
8月 | 44 | 1082 |
9月 | 64 | 883 |
10月 | 63 | 964 |
11月 | 61 | 1010 |
12月 | 59 | 1020 |
1月 | 48 | 981 |
2月 | 62 | 940 |
3月 | 116 | 931 |
合計 | 764 | 11627 |
脳血管疾患 | 廃用症候群 | 運動器疾患1 | 運動器疾患2 | 摂食・嚥下リハ | |
---|---|---|---|---|---|
4月 | 2640 | 194 | 5708 | 333 | 92 |
5月 | 2665 | 240 | 6619 | 354 | 106 |
6月 | 2313 | 473 | 7908 | 426 | 101 |
7月 | 2060 | 591 | 7577 | 518 | 116 |
8月 | 2045 | 643 | 7468 | 438 | 140 |
9月 | 2066 | 712 | 6829 | 578 | 115 |
10月 | 2452 | 678 | 6556 | 322 | 166 |
11月 | 2201 | 585 | 6450 | 385 | 139 |
12月 | 2474 | 624 | 6853 | 314 | 160 |
1月 | 2676 | 929 | 5970 | 198 | 100 |
2月 | 3188 | 683 | 5732 | 209 | 96 |
3月 | 3552 | 516 | 5462 | 361 | 50 |
合計 | 30332 | 6868 | 79132 | 4436 | 1381 |
2014年1月25日(土)霞ヶ丘地域福祉センター(垂水区)にて
五色山健寿会の皆様を対象に『高齢化社会と転倒予防』について、転倒予防体操を交えながら理学療法士が講演させていただきました。
2014年2月17日(月)垂水区の区役所1階大会議室にて
垂水区老人クラブ連合会の福祉研修会において、転倒予防体操を交えながら「高齢化社会と転倒予防」について講演させていただきました。
2014年3月26日(水)霞ヶ丘地域福祉センターにて
霞ヶ丘健寿会の婦人会の皆様を対象に、当院の言語聴覚士が「顔面筋と体操」について講演させていただきました。
また、理学療法士も「目の前の高齢化社会へ、理学療法士・言語聴覚士の関わり」について講演させていただきました。